肝臓の病気と漢方薬

最終更新: 2023年7月27日

ビールが美味しい季節になりました。コロナも一部残っていますが、それでも今年は少し開放的な夏になりそうですね。でも心配してあげてほしいのは「肝臓」のことです。

何もいわず寡黙にがんばってくれていますので、ぜひいたわりながら、健康で楽しい夏にしたいものです。肝臓の働きや病気のことを少しまとめてみましたので参考にしていただけると幸いです。

【肝臓の働き】

肝臓は体の中で最も重く大きな臓器です。それだけにさまざまな働きを担っており、「体内の化学工場」とも呼ばれています。肝臓の働きは、大きく次の3つに分類されます。

●栄養の加工と貯蔵

食事から摂取した栄養素を体内で活用・貯蔵するのに適した形に変換し

必要時にエネルギーを作り出します。

●有害物質の分解

対外から入ってきたアルコールや、体内で生じたアンモニア等の有害物や老廃物を分解します。

●胆汁の分泌

脂肪の消化・吸収を助ける胆汁を合成し、必要に応じて十二指腸に分解します。

【肝臓の病気】

肝機能に異常を起こす「肝機能障害」はさまざまな病気によって起こります。

●ウイルス性肝炎

肝炎ウイルスにはA~E型があります。その中でも問題になるのはB型とC型でいずれも血液を介して感染し、特にB型は母子の間で感染します。

(症状)

ウイルスに感染し、発症すると肝臓の細胞に炎症が起こります。(肝炎)

急性肝炎の場合は、発熱、頭痛、咽頭痛のような風邪に似た症状や、尿の色がウーロン茶のように濃い茶褐色になったり、白目や皮膚が黄色っぽくなったりする黄疸が見られ、その後治癒します。一方、炎症が続く慢性肝炎を起こすこともあり、この場合、肝硬変やさらには肝がんの危険性が高まります。

慢性肝炎で自覚症状がでることは少なく、肝硬変まで進行すると、疲れやすい、だるい、食欲がわかないといった症状のほか、黄疸や腹水、むくみ手のひらが赤くなる手掌紅斑があらわれます。

●脂肪肝(しぼうかん)

肝臓に約3000億個ある細胞のうち30%以上に脂肪がたまった状態が脂肪肝です。

アルコールが原因となる場合と、アルコール以外の生活習慣が関係する脂肪肝があります。

(症状)

アルコールが原因の場合、飲酒を続けると肝硬変や肝がんに進むことがあります。

一方お酒に関係なく起こっている場合、脂肪肝の状態から進行しない単純性脂肪肝と、ほっておくとNASH(ナッシュ)と呼ばれる肝臓に炎症や繊維化がおこる状態になる脂肪肝があります。

NASHを発症すると、肝硬変や肝がんに進行する危険が高まります。

肥満や過食のひと、糖尿病のあるひと、また閉経後の女性等は、NASHを起こしやすいことがわかっています。

漢方薬は、このような症状になる前に「予防的に服用できる」ものです。また、肝臓と腎臓は相互に関係しますが、その両方を守ってくれるものがお勧めできます。

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