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糖尿病
糖尿病(とうにょうびょう)は、血糖値(血液中のグルコース(ブドウ糖の濃度)が病的に高い状態をさす病名です。
世界には少なくとも1億7100万人の糖尿病患者がいます。
2011年の日本の糖尿病人口は1067万4320人に上り、糖尿病人口の世界ランキング第6位です。
国際糖尿病連合が昨年発行した「Diabetes Atlas」第5版によると、世界中で糖尿病人口が急増しており、日本を含む先進国だけでなく途上国でも深刻な事態となっています。
ひとことに血糖値が高いと言っても、無症状の状態もあります。
症状としては著しいのどの渇き・大量の尿を排泄する状態、さらには意識障害、昏睡に至るまで合併症的なものを含めて様々ですが、
これらをすべてまとめて、血糖値やヘモグロビンA1c値が一定の基準を
超えている場合を糖尿病といいます。
血液中のブドウ糖濃度(血糖値、血糖)は、様々なホルモン
(インスリン、グルカゴン、コルチゾールなど)の働きによって正常では常に一定範囲内に調節されています。
私たちが毎日の食事で摂取する糖質(ごはん、パン、お菓子、果物など)は唾液や膵液、腸液に含まれる消化酵素によって、そのほとんどがブドウ糖となります。このブドウ糖は腸から吸収されて血液中に入ります。
また肝臓からは蓄えられているエネルギー源の一部がブドウ糖として
血液の中に放出されますこれらを合わせて血糖といいます。
血糖は体のいろいろな細胞(脳、筋肉、肝臓など)に取り込まれて、エネルギー源として役に立ちます。通常では血糖の値(血糖値)の調節は、胃の後ろに位置する膵臓のランゲルハンス島の中にある膵β(ベータ)細胞から分泌されるインスリンホルモンの作用によって巧妙に行われています。
ところが、いろいろな理由によってこの調節機構が破綻すると、血液中の糖分が異常に増加し糖尿病になります。
糖尿病は大きく1型と2型にわけらますが、これはこの調節機構の破綻の様式の違いを表しています。
1型糖尿病では膵臓のβ細胞が何らかの理由によって破壊されることで、
血糖値を調節するホルモンの一つであるインスリンが枯渇してしまい、
高血糖、糖尿病へと至ります。
一方2型糖尿病では、血中にインスリンは、存在するのだが肥満などを
原因としてインスリンの働きが悪くなるか、あるいは自己免疫的に破壊された訳ではないが膵臓のβ細胞からのインスリン分泌量が減少し、結果として血糖値の調整がうまくいかず糖尿病となります。糖尿病患者全体の約9割がこの2型糖尿病です。
その他にも、妊娠糖尿病をはじめとして発症機序の違いに基づくいくつかの病名があります。
【妊娠糖尿病】
妊娠を契機に発症した糖尿病あるいは耐糖能異常(糖尿病にまでは
いかないが血糖がやや高めである状態)のことで、すでに糖尿病と
診断されている患者さんが妊娠した状態とは区別されます。
妊娠糖尿病は、
●後年、真の糖尿病に移行しやすい、
●胎児に巨大児などの合併症が起こりやすい
●子どもが将来糖尿病になる可能性がある
などの点で注意が必要です。
これらをひとまとめにしている糖尿病は病名というより症候群と言ったほうが適切です。
糖尿病は高血糖そのものによる直接的な症状を起こすこともあるほか、
その病態が長期にわたると血中の高濃度のグルコースがそのアルデヒド基の反応性の高さのため血管内皮のタンパク質と結合するいわゆる糖化反応を起こしてしまいます。
体中の微小血管が徐々に破壊されていき、目、腎臓を含む体中の様々な
臓器に重大な障害(糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症の微小血管障害)を及ぼす可能性があり、糖尿病治療の主な目的はそれら糖尿病に起因する合併症を防ぐことにあります。
1674年、イギリスの臨床医学者トーマス・ウィリスはヨーロッパで
当時奇病とされていた多尿症の研究をしていました。ウィリスは尿に含まれる成分を何としても知りたいと考え、患者の尿を舐めてみたところ、甘かったことが本病確認のきっかけとされています。
東洋医学では糖尿病の事を「消渇」と呼ばれています。
なお腎臓での再吸収障害のため尿糖の出る腎性糖尿は別の疾患です。
2011年の日本の糖尿病人口は
1067万4320人に上り、糖尿病人口の
世界ランキング第6位です。
1型糖尿病
膵臓のβ細胞が壊れてしまい、
まったくインスリンが分泌されなくなって
しまう1型糖尿病。
インスリンを体外から補給しないと生命に
関わるため、インスリン注射を
欠かしてはなりません。
日本では、2型糖尿病に比べ非常に発症率が低いのが特徴で、1年間に10万人の中で約1.5〜2.5人ほど(自己免疫疾患)
2型糖尿病
遺伝的に糖尿病になりやすい人が、肥満・
運動不足・ストレスなどをきっかけに
発病します。
インスリンの効果が出にくくなったり、分泌のタイミングが悪くなったりします。
日本の糖尿病患者の約95%は、2型糖尿病です。
2型の場合、生活習慣も重要な要素であることから、「生活習慣病」と呼ばれています。
「痛みが伝わらない」は糖尿病の合併症の一つ
糖尿は早めの具体的な対策と
生活習慣の見直しが大切です。